9月7日に沖縄・琉球大学で行われた「魔法のランプ」プロジェクトに参加してきました
2013年9月13日 金曜日 | ADOC-S
こんにちは、ビジネスイノベーション部の安田です。
今わたしたちは新アプリ「ADOC-S」のリリースに向けて準備を進めているのですが、そんな中、9月7日(土)に琉球大学で行われた「魔法のランプ」プロジェクトのセミナーに参加してきましたのでご紹介したいと思います。
「魔法のランプ」プロジェクトとは?ですが、こちらは「ICTを活用して障がい児の学習・生活支援を行う」ためのプロジェクトです。具体的には、ソフトバンクモバイル株式会社さんと株式会社エデュアスさんが、協力してもらえる学校にスマートフォンやタブレット端末などを一定期間無償で貸し出し、実際に教育現場で活用してもらうことでその有効性を検証し、研究成果を公開することと、全国拠点でのセミナー活動によって、障がい児の学習支援を促進していくものとなっています。
9月7日(土)に開催された沖縄でのセミナー内容は以下となっておりました。
14:00 開会
魔法のプロジェクトについて
株式会社エデュアス 事業推進部 佐藤里美様
魔法のランププロジェクト協力校による実践発表
沖縄県立西崎特別支援学校 教諭 知念元喜様
沖縄県立森川特別支援学校 教諭 和田博様
うるま市立伊波中学校 教諭 久貝元香様
講演「特別支援教育へのICT導入について」
東京大学 先端科学技術研究センター 准教授 近藤武夫様
16:15 OAK体験会
東京大学 先端科学技術研究センター 准教授 巖淵守様
初めに知念先生の発表ですが、知的障害と整体麻痺を持つ高校2年の男の子が、iPhoneを使うことで、自分でマクドナルドやスーパーで買い物ができるようになった様子を動画とともに紹介、「テクノロジーを利用した自立・社会参加の可能性」についてお話しいただきました。
次に和田先生ですが、筋ジストロフィーによって寝たきりの状態にある高校2年の男の子が、iPadアプリを使うことで自分の意志を伝えたり、学校での販売学習に「呼び込み」担当として参加したり、FaceTimeを使うことで離れた両親と会うことができるようになったり、自分が直接参加できない避難訓練に参加したり、という取り組みを紹介されていました。
久貝先生は、中学1年の難聴の女の子にiPadを持ってもらうことで、それまで難しかった外出時の親との連絡がうまくとれるようになったり、自分に必要な情報を自分で調べることを学んだり、公共機関を利用して自分で移動できるようになったり、という実例を紹介されていました。
また、東大の近藤先生は「教育における技術の利用と合理的配慮」というテーマでお話をされ、「DO-IT Japan」での事例を紹介されていました。
また、「何のためのテクノロジー利用か?」という視点が大切だとおっしゃり、その意味で
・能力≠生身の身体
・能力≒配慮付きの結果
とお話しされていました。ここでいう配慮というのは、例えば、学習障害のために紙に印刷された教科書を読むことが難しい子どもが、音声朗読してくれるiPad版の教科書を利用することで学習能力が高まったりすることを指しています。そして「学びのスタイルは変わっても、目的を達成するために対応方法を都度調整/変更していくこと」がポイントだとお話しされていました。
そして最後に東大の巖淵先生ですが、自ら開発された「OAK」という仕組みを紹介されていました。
OAKは別名「どこでもスイッチ」と呼ばれ、障がいを持つ方々が、物理的なスイッチよりもずっと簡単に押せるバーチャルなボタンをマイクロソフトのKinectを使って空間上に作り、それを実際のハードウェアと連携させるための仕組みです。念のためOAKの紹介動画を以下に載せておきます。
以上が9月7日に沖縄で開催された「魔法のランプ」プロジェクトの概要ですが、現在、小中学生全体の6.5%が何らかの障がいを持っているとのこと。この6.5%の子どもたちをITでサポートできたら、、IT業界に身を置く私たちにとっての大きな幸せであることは間違いないと思います。そういう意味でも、現在開発中のADOC-Sに込めた想いをぜひとも多くの方々にご理解頂き、また実際に現場で活用頂けるよう、全力を尽くしていきたいと思っています。