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レキサスブログ

AWSへの全面移行を進める理由 〜日本最大級の不動産ポータルを運営するオウチーノさまにインタビュー(後編)〜

こんにちは、安田です。

弊社インフラサービスのお客さまであり、不動産ポータル「オウチーノ」を運営する株式会社オウチーノさまに過日Web会議のスタイルでインタビューをさせて頂く機会を頂戴しました。

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オウチーノさまは住まい探し・リフォーム・注文住宅の分野で高い専門性を強みとするサイトを運営していらっしゃいます。インタビューでは、レキサスがお手伝いさせて頂いた同社WebサービスのAWSへの全面移設について、関係者全員で振り返る良い機会となりました。

前編に続き、今回は後編をお届けしたいと思います。後編はVM Importを活用したAWS移行の話題になりました。

【対談者紹介】
加藤さま:株式会社オウチーノ システム開発 Div. リーダー
國友さま:株式会社オウチーノ システム開発 Div.
下門:株式会社レキサス クラウドインテグレーションチーム テクニカルセールス
与儀:株式会社レキサス クラウドインテグレーションチーム AWSソリューションアーキテクト
河村:株式会社レキサス 東京オフィス マネージャー
安田:株式会社レキサス コーポレートデザイン部 広報担当

1.AWSへの移行を決断した背景

■下門
まず今回AWSへの移行を実施された経緯を教えていただけますでしょうか。

■國友
既存のデータセンターに保守期限が迫ったサーバがあったのですが、それらのサーバー上で動くシステムは別途AWS上で新たに構築する計画も動いていました。そのためこの段階では無理に動かさず、保守を更新して使い続けるという選択肢もありました。しかし、AWSに持っていけるのであればコストと保守体制ともに現状よりもメリットがある、という判断に至りAWS移行の実施を決断しました。

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■河村
移行対象は何台くらいありましたか?

■國友
10台強ありました。

■下門
今回、移行方式としてAWSのVM Importを活用した移行を採用されましたが、この方法を採用した理由はやはりAWS移行の決断から保守期限までの期間が短かったからでしょうか?

■加藤
はい、AWSへの移行を迷っていた際に、レキサス様から「既存の仮想マシンイメージとAWSのVM Import機能を利用してEC2インスタンス作成する方法がある」と提案いただいたのがきっかけです。できればOS・ミドルウェアのバージョンアップもしたかったのですが、あまりに時間をかけてしまっていては本末転倒なので、なるべく短期間かつ開発工数をかけずに移行することを重要視しました。

■國友
移行を後押ししてくれたのが、データセンターで運用していた際に、とにかく何かあった時に困るので、VMにバックアップを取る構成になっていたことです。

■加藤
そのバックアップ用のVMを使って試験的に移行検証をやってみようということになり、まず1つのVMイメージをVM Importしてみたところ、特に手を入れることもなく動作したんです。そこで、他VMも同様に横展開し、問題ないことを確認しまして、本移行に踏み切りました。
11月末から作業開始して、年末の12月中旬くらいには完了したので、移行期間は実質1ヶ月以内でしたね。

スムーズに移行できたワケ

■國友
VMごと移行するというやり方で一番メリットが大きかったのは、既存のアプリケーションに一切手を加えることなく移行が行えたことです。
既存のアプリケーションに手を入れてAWS上に再構築し直すとなると工数的にかなりかかるだろう、と見積もっていました。それをVMごと移行して、既存システムへの影響を最小限に抑えて、まさに「Lift-and-Shift」ですんなりと移行ができました。

■与儀
既存環境と移行対象のPrivate IPアドレスの帯域が違っていたため、新たにVPC環境を構築して、VPCピアリングで、まるまる仮想のデータセンターを持っていたようなイメージです。

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■國友
そうですね。サービスディスカバリのような仕組みがなく、アプリケーションからの接続先設定がいろいろなところに散らばっていて、個別に対処するのが難しかったため、新たにVPC環境を構築して既存環境のPrivate IPアドレスの帯域を再現しました。

■加藤
アプリケーションをメンテする人間から見ても、移行したことに気がつかないぐらいでした。

■河村
今回のようにアプリケーションに一切手を加えずにそのまま移行できたというのは結構レアなケースだと思いますが、なぜスムーズに移行できたのでしょうか?

■加藤
まず、使っているミドルウェアが全てオープンソースで構成されていたということが一番かと思います。

■下門
確かに古いバージョンのWindowsなどライセンスの問題でVM Importが使えないというのは弊社でも過去にありました。

■國友
ライセンスの問題もそうですし、カーネルのバージョンも影響しますね。VM Importが使えない、という事態が起きる要素がなかったのが良かったです。
逆に、既存データセンターに残っているサーバを同じやり方でAWSに移行できないか、移行検証を行った際に、カーネルのバージョンの問題でうまくインポートできないというのはありました。

■加藤
また1ヶ月以内という短期間での移行には、サーバーマイグレーションのテスト用に本番と同じ環境をAWS側に作っておいたのが功を奏したと思います。ファイルサイズがかなり大きいモノもありましたので、データの移動だけでものすごく時間がかかりましたから。

■國友
既存データセンターの帯域の制限もあり、テラバイト近いデータがあったモノに関しては、原始的ですがリムーバブルディスクに保存して持ち運びました。

■加藤
そのためデータセンターを行ったり来たりしました。。。

■下門
AWSにアップロードする時はインターネット経由ですよね。

■加藤
そうです、弊社の社外向け回線を使って、帯域制限があるので深夜帯や休日を利用して作業を行いました。

移行完了後の評判

■河村
いろいろとあったにせよ、開発陣に一切負担をかけることなく無事に移行が完了したことで、評判はいかがでしょうか? 最近パフォーマンス良くなったとか、止まらなくなったとか。

■加藤
可用性や耐障害性の向上は目に見えづらいため短期的には評価しづらい部分だと思いますが、結果として1年を振り返ったときに評価してもらえたらと考えています。
実際、これまでは年間で平均して1ヶ月に1回程度、データセンターでの対応が発生していたのですが、データセンターに行く機会は目に見えて減りました。

■國友
直近2ヶ月はデータセンターに行っていないですね。

■下門
データセンターに行けないとインフラを触っている実感がなくなって寂しい、といったことはないですか?

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■加藤
いや、寂しくはないです。むしろAWSは本当に席に座ってマネジメントコンソールだけなので、その点での運用負荷は大幅に減りました。

■國友
aws-cliや構成管理ツールを使えば、マネジメントコンソールすら使わずとも仕事ができる時も。。。
さらに、目に見えるメリットとしては、ご協力いただいたNW移行(第1回目インタビュー参照)も合わせて最終的に大幅なコスト削減に繋がりました。
コスト削減に加えて、AWSにサーバの大部分を集約することができ、既存データセンターに一部システムが残ってはいますが、今までと比べかなりシンプルな構成になったのも大きいです。

オウチーノさまが考える次のステップ

■河村
コストメリットも出て経営陣からも評価されるようになり、今後は低減したコストを有益に活用して、攻めのIT部門へ変革していくイメージでしょうか?

■加藤
はい、どこよりも高い技術力とスピード感を持ったIT部門にならないといけないと考えています。
そうでないとサイトの競争力が低下してしまいますので、地味ではありますが、一番大切なセクションかなと考えています。

■國友
レキサス様にお力添えいただいき、インフラ面も整備され、管理コストも下がりました。
次のステップとしては言語のコンバートやインフラのコード化を進めたいと考えており、そこに専念できるような環境になってきていると思います。

レキサスへの要望

■河村
レキサスに対しての要望やこれは言っておきたいというのはありますか?

■國友
レキサス様からの当初提案で最も良かったポイントは「技術支援」ですね。

■加藤
そうですね、「技術支援」の範囲でよろず相談に乗っていただいており、フルに活用させていただいています。

■下門
ありがとうございます。ハートフルな支援を売りにしています(笑)
インフラの運用となると1台いくらという運用保守モデルが主流ですが、クラウドのサービスも多様化しており様々なレイヤーのコンポーネントがありますので、従来型の運用保守モデルだけでは拾いきれないことも多いと思います。

今後のこと

■加藤
レキサス様と一緒にインフラを構築して、AWSというインフラや、昨今のインフラの在り方、実現したいと思っていた方向へ進むための確証が得られたとも感じています。

■國友
そうですね、正直な所、これまでは時代に置いていかれていた部分もありましたが、システムを今風にするにはどうするべきかという部分で、インフラの枠に縛られない技術支援をいただいたと思います。

■加藤
これからはできるだけ自社で技術課題を解決できるようになろう、と思っています。

■國友
より高いレベルで大きなビジョンを描いていきたいと思います。
今後、オウチーノは最先端の技術者集団になっていきます。その変化の速さに取り残されないようにレベルアップしていければと思います。

■加藤
そういう今後の未来について考える時間を持てるようになったということも、今回移行して改めて良かったと考えています。

■下門
弊社も現在はインフラの運用監視から支援させていただいていますが、できる限り自動化を進めていき、最終的には有人監視が不要になることが正だと考えております。

■國友
運用監視の自動化は弊社にとっても大きな課題ですね。

■下門
私たちも精進をして、次のステージに一緒に上がって行きたいです。

レキサスと仕事をして感じたこと

■加藤
もう1つは、レキサス様の弊社ご担当者様には案件を通じて、すごく相談しやすい環境を作っていただいていたなと感謝しています。

■与儀
ありがとうございます(照)

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■國友
チャットするかのような話しやすさと速度感のご対応には本当に助かりました。

■下門
レキサスは大会社ではありませんので、良い意味で職責を細かいところまでガチガチに決めすぎずに現場メンバーがそれぞれ考えて能動的に行動する文化があります。今回も現場担当者同士で積極的にコミュニケーションできるスタイルが良かったと思います。

■河村
レキサスらしい良い部分かとは思います。近しい規模の会社同士で仕事ができることは、実は良いことだと思っています。人に依存し過ぎるのも当然良くない点ではありますが、このようなレキサスらしさはなくさないようにしたいと考えています。

■國友
人という意味では、弊社も求人をかけており絶賛募集中です!

■下門
どういった方を求めているのですか?

■加藤
AWSに強く、システム・アーキテクチャなども今時のトレンドを理解している人です。

■國友
コード化されたインフラを使いこなせる人、アプリケーションエンジニアとしてはRubyを使いこなせる人、新しい技術に貪欲な方を、どしどし募集中です。

■下門
そういった人材はレキサスとしても欲しいですね。

レキサスへのリクエスト

■河村
では、最後にレキサスに対してこうあって欲しいというコメントをお願いします。

■加藤
申し分ないお付き合いをさせていただいているとは思うのですが、強いて言うなら、まだ緊急の事態に陥ったことがないので、緊急時のフローがきちんと機能するのか、どれくらい短時間で復旧できるかなどは未知数かなと思います。

■國友
障害が発生していないことは好ましいことではあるのですが不安な面でもありますね。

■下門
監視運用から引き続き支援させていただきますが、オウチーノ様内でナレッジやノウハウをためていただいて、インフラを含めた総合的な技術支援を念頭に色々と提案していければと思っています。

■國友
おっしゃる通り、技術支援主体の方向性だと思いますが、もちろん明日から、監視は全て不要です、ということではないので徐々に変えていきたいですね。
こういった技術支援ができますなど、攻めの提案をしていただけると嬉しいです。

■下門
今後はインフラやアプリの領域だけでなく、IoTや機械学習の領域でも連携していければいいなとは思っています。

■加藤
新経営陣からは「ユーザーファースト」というキーワードも出てきていますが、そのためには色々なものを見ないと「ユーザーファースト」を追求できないと考えています。
コミュニティや勉強会などへ積極的に参加していくには、やはり運用保守には手間がかからない状態にしないといけないと考えています。

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ということで2回にわたりましてオウチーノ様の事例インタビューを掲載させていただきました。いかがでしたでしょうか? 「ハートフルテクノロジー」をコーポレートスローガンとするレキサスらしい事例なのではないか、と手前味噌ではありますが考えています。

私たちは特に、ハートフルに対応してほしい、と考えているお客様とのコミュニケーションを大切に、丁寧にお話をさせていただいておりますので、ぜひお気軽にご相談頂ければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

【関連リンク】
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