フリー素材に頼らない! 動画のBGMを爆速で自作する方法(Macユーザー向け3,000円コース)【第2回】
2014年11月19日 水曜日 | その他
こんにちは、安田です。今週は仕事とプライベートでパタパタしています。
さて、先週から始まりましたこの連載「フリー素材に頼らない! 動画のBGMを爆速で自作する方法(Macユーザー向け3,000円コース)」ですが、前回は、GarageBandだけじゃぜんぜんダメなので3,000円投資しましょう!という話で終わりました。で、その投資するモノとはいったい何か?ですが、その前に、そもそも音楽はどうやって作ればいいのか?のお話を少ししたいと思います。
そもそも音楽はどのようにできているのか?
今回の連載の最終目的は「自作動画にぴったり合うオリジナルBGMを自分でパパッと作れるようになる」です。この目的を達成するためにはまず何をすべきか? まぁ、知識ではなく感覚でループ素材を適当に重ねてもいいかもしれないのですが、私としては、まず「音楽はどのようにできているのか?」を知ることが、短時間でそれなりのクオリティを伴った曲を作る近道だと考えています。たとえば建築物が基礎、柱、壁、屋根といった必要不可欠な要素を組み合わせて作られるように、音楽(楽曲)にもそれを構成する基本的な要素があります。以下をご覧下さい。
これは、ふだん私たちがよく耳にする、いわゆるポップスやロックといわれるような西洋音楽を構成する要素を表にしたものです。
・メロディー:曲の主旋律ですね。
・ハーモニー:メロディーを支える和音です。
・リズム:曲のテンポを決めるのがドラム、そしてハーモニーの一番基礎になる音を出したり、曲にノリを与えるのがベース(そういう意味ではベースはハーモニーとリズムの両方の役割があります)。
楽器を聴き分ける耳を作る
ビートルズもローリングストーンズも椎名林檎も坂本冬美もAKBもPerfumeも上記に当てはまりますので、今後、音楽を聴くときにはぜひ上記の図を意識しながら聴いてみて下さい。やりかたは簡単です。ひとつの楽器に集中して聴くのです。例えば自分の好きな曲の「ドラムだけに集中して聴いてみる」「ベースだけに集中して聴いてみる」「ギターだけに集中して聴いてみる」などです。これを繰り返していると、音楽がどういう楽器で構成されているかが自ずと分かるようになり、また、それぞれの楽器の役割(メロディー/ハーモニー/リズム)が見えてきて、自分でBGMを作る際に大きな助けになります。
ちょっと脱線しますが、例えば同じドラムという楽器でも、演奏家によって出てくる音がまるで違います。こういう、演奏家による音の違いなんかも気になってきたりしますと、人生における音楽の楽しみが数百倍に広がるでしょう。ふだんリスナーという立場で音楽に接しているとこういうことをあまり意識しないと思うのですが、ぜひやってみてください。
ちなみに以下は、世界の頂点に立つ3人のドラマーが一堂に会し、ドラムバトルを行っている映像です。気分転換にご覧頂ければと思いますが、同じドラムという楽器でも、叩く人によってこれだけスタイルが違います。
Dave Weckl, Vinnie Colaiuta & Steve Gadd – Drum Solo
少し長くなりましたが、以上が前段。。そろそろ本題に入りましょう。
マジメに全部作る必要はない
ということで、いわゆるポップスやロックなどの音楽は「メロディー」「ハーモニー」「リズム」という要素から成り立っていることをお伝えしましたが、自作動画用のBGMを短時間で作りたい場合、これらの要素を全部マジメに作り込む必要はないと思っています。なぜか? 動画の主役はやはり映像なわけで、BGMはその映像が伝えようとしている世界を音でサポートする、つまり、雰囲気を作ってあげられさえすれば良いからです。雰囲気を作れるのであれば、これらの要素の一部だけを使う形、つまりメロディーだけとか、リズムだけとか、ハーモニーだけとかでも問題ありません。もしくは、メロディーとリズムだけ、とか、リズムとハーモニーだけ、という部分部分の組み合わせも充分アリです。この部分部分の組み合わせという方法は、実際にBGMを作る作業もかなりラクになるので私はよく使います。
まずはどんな雰囲気にしたいかを考える
ということで動画におけるBGMの役割は「雰囲気を作ってあげること」ですので、まずはその動画を見た人にどんな気持ちになってほしいかを考えます。趣味で作っている動画の場合は、笑ってほしい? 元気になってほしい? ジーンときてほしい? スゲー!と思ってほしい? また、自社製品のプロモーション動画の場合は、その製品が醸し出したい雰囲気(信頼感、楽しさ等、製品によっていろいろあると思います)をイメージします。
雰囲気を決める一番大きなポイントは「テンポ」
醸し出したい雰囲気が決まったら、曲のテンポを決めましょう。音楽で雰囲気を作る場合、テンポはとても重要なポイントです。なぜならリスナーの心理、つまり「気分」を大きく左右できるからです。まずこの点において、他人が作ったフリーの音素材を使わない意味は非常に大きいと思っています。
一般的には、じっくり訴えかけたり、壮大な感じを出したかったりする場合はスロー〜ミディアムテンポを使うことが多いと思います。逆に元気系、スポーツ系などの勢いを伝えたい映像だと結構速いテンポのほうがピッタリきますよね。あとは、ちゃんとしたBGMというより効果音的な感じでを映像に音を付ける場合もあり、そういうときは逆にテンポを感じさせないように作ったりもします。ちなみにプロミュージシャンの世界では、テンポについては1BPM単位で調整しながら最適なところを探ります。
世の中はそろそろ12月、クリスマスソングには美しいメロディの名作品が多数ありますね。クリスマス本来の厳かな雰囲気をスローもしくはミディアムテンポで表したり、みんなのウキウキした気持ちをシャッフル(3連携のハネるリズム)で表したりと、同じクリスマスソングといえども、やはりどういう雰囲気を出したいかでテンポが全く違います。
そのようなわけで、リスナーという立場で音楽に接しているとテンポについてもあまり意識しないと思うのですが、上記のメロディー/ハーモニー/リズムと同様、今後音楽を聴く際はぜひ楽曲のテンポがリスナーに与える心理的効果にも気をつけて聴いてみてください。
以上、今回も文字ばかりになってしまいましたが、次回では実例をいろいろ観ながら考察しつつ、次々回からいよいよ実際にBGMを作る方法に入っていこうと思います。