Googleの凄いトコ その1)通勤編
2016年11月1日 火曜日 | BIZ & TECH
こんにちは、北米事業担当の南@シリコンバレーです。
今年で創業18年目を迎えたGoogle。急成長に伴い日本のメディアでもGoogleの独自カルチャーや社内での色々なユニークな取り組みが紹介されています。 20%ルールなどはすっかり有名になりましたね。今回からGoogle勤務の知人から僕が学んだGoogleの凄いトコをいくつか紹介したいと思います。
Googleバス
昨今、シリコンバレー内の交通網の大動脈であるハイウエイ101の渋滞が一段とひどくなっています。ハイウエイの渋滞は景気指標の一つでもあり、いかに好景気かということを表していますが、その反面自動車通勤の人達には大きな苦痛の一つです。
ハイウエイ101の夕方の渋滞(午後5時〜6時がピーク)
左側の車線にいるのが通勤用のバス(サンフランシスコで通勤バス乗り入れ反対のデモなどがあったこともあり、昨今では社名の表示はない)
Googleはメインキャンパスがあるマウンテンビュー市付近に複数のキャンパスを持ちトータルで4万人前後の社員の方が働いています。もし4万人が朝晩同じ時間帯に車で通勤したり、お昼休みにいっせいにランチに出かけたりしたら、社員が利用する車だけでも4万台が周辺の道路に溢れ出すだけでなく、消費するガソリンや車から排出される排気ガスは大変な量です。
大変有名な世界一美味しい社員食堂と比喩されるカフェテリアに力をいれているのも、それらを緩和する案の一つです。社員がキャンパス外に出る必要がないと思うほど美味しい料理を作り続けるカフェテリアをいくつも持ち(各キャンパスには複数のカフェテリアがあり、全て違うメニューをサーブしています) その中には完全予約制でコース料理を出すレストランまでありますが、どこで食べても何を食べても食事代は一切かかりません。
コーヒー豆やティーリーフを選んで好きな飲み物を作ってくれるカフェやデザート、アイスクリームまでもサーブするカフェテリアもあり、あの環境にいればわざわざ車に乗って社外に出ようと思わないでしょう。
またGoogleでは社員の車通勤を減らすために通勤用の大型バスを300台も所有しています。朝晩にSFベイエリアの主要地域とキャンパスを繋ぐだけでなく、キャンパス間の移動にも運用されており、運行の路線数はトータルで600以上。現在は社員の20%程度の8000人が利用しているそうです。渋滞の中にいてもWifiが繋がる大型のバスでの移動は快適なはず。
通勤時間中に動画を見てリラックスする社員もいれば、バスの中からカンファレンスに出たり、仕事をスタートしている社員もいるそうです。どんな路線があるのか? いつバスが通るのか? などの情報はもちろん社員専用のアプリで見ることができます。
カンパニーカー
しかしバスに乗ってきてしまったら、他の会社とのミーティングに出かけたりどうするの? プライベートでも夕飯の買い物をしてくる必要があったり、子供の学校からのピックアップがあったり、ちょっと不自由なことがありそうです。Googleではこの部分をカンパニーカーでカバーしています。
キャンパスの何ヶ所には日産のリーフやシボレーボルト、フォルクスワーゲンのeゴルフなどが並んで停められている駐車場があります。 これらの車が全てカンパニーカーの電気自動車なのです。
キャンパス内の駐車場で給電されて駐車しているカンパニーカーに社員証をかざして解錠しています。
カンパニーカーというと、日本では仕事で上司と一緒に顧客訪問に使うイメージなのですが、Googleではバス通勤した社員のために車がないとできない活動を補うために用意されたものなのです。
車を使うには、社内のプロシージャーに乗っ取りスマホやデスクのパソコンからリクエストを発信。上司が了承してくれたら、即時にクーポンが発行されて、駐車されているカンパニーカーから一台が選ばれて、その車の駐車場所がリクエストした社員に返ってきます。
社員は送られてきたカンパニーカーの駐車場に行き、その車の車内にあるセンサーに社員証をかざせば車のロック解除。そこから自由に利用できます。リクエストしてから、この間はわずか数分。 もちろんマネージャーがオンラインで直ぐに承認をしてくれればですが、ハンコばかり多い日本の社内とは大違いのスピードです。
会社が発展すれば、いろんな問題が起きてくるものですが、そんな問題にも会社のカルチャーともいうべき新しい発想をいろんなところから出し、それを短期間で得意のソフトウエア開発も活かしながら解決するという Googleらしい凄いところをひとつ紹介させてもらいました。